Report on the results of gatherings:研究会の事後報告
【2008年12月例会(Tokyo)の事後報告】

・今回(12月20日)のテーマは
「キャロル・リードと英文学――コンラッドを中心に』(発表:佐藤 元状氏)

 佐藤元状氏(慶応義塾大学法学部専任講師)の発表は、まず、キャロル・リード監督(1906-76)の活動を、戦前、戦中、戦後に分けて辿り、リード監督の映画的特徴をまとめたうえで、この映画監督の仕事の流れの中でOutcast of the Islands (1952)を位置づけようとするものであった。発表では、通常見る機会の少ない、あるいは入手不可能な映画作品が次々とDVDで提示され、参加者は貴重な映像とともに贅沢な時間を共有することができた。
 文学と映画という媒体の違いについても丁寧な考察があり、たとえば、Gene Moore, ed. Conrad on Film (Cambridge UP, 1997)所収のOutcast論の章についての批判的コメントも、説得的であった。
 佐藤氏の論旨がいずれ論文の形にまとめられ、多くの人の目に触れることを期待したい。それまでは、当日配布された周到なレジメを手元に置いて、「コンラッドと映画」をめぐるレフェレンスの一つとして使うことにしよう。

設楽 靖子(武蔵大学非常勤講師)報告

【2008年11月例会(Kyoto)の事後報告】

・今回(11月15日)のテーマは
Joseph Conrad:The Nigger of the "Narcissus" and

H. G. Wells:The Invisible Man
(導入:伊藤 正範氏)

 毎回、刺激的な議論で盛り上がる京都例会ですが、今回も大変興味深い話がたくさん出ました。関西学院大学の伊藤正範先生が、コンラッドのThe Nigger of the “Narcissus”とH.G.ウェルズの The Invisible Man を取り上げて、リアリズムとモダニズムの問題、当時のジャーナリズムに関する問題、コンラッドの貴族性などにも議論を広げて下さいました。中でも、孤独なマッド・サイエンティストであるグリフィンが、小説の最後で群衆の中で袋叩きにされる場面は、見えないものが「可視化」される場面であるというご指摘は大変興味深く、The Secret Agentのプロフェッサーの人物像とも関連させて更に議論を深めたいと思います。また、個人的には、ヴァージニア・ウルフがコンラッドの小説をどう評価していたのかという問題は、二人の小説技法を考える上でも、大変興味深い問題だと思います。

中井 義一(京都府立大学大学院博士課程)報告

 〔参加者:伊藤正範、中井義一、社本雅信、田中賢司〕

【2008年10月例会(Tokyo)の事後報告】

 『放浪者』(1923)を課題としてとりあげるのは約10年ぶりとのこと。
 導入の社本 雅信氏の解説を受け、主な登場人物の関係に伝統的な父―娘―その求婚者の三角関係やピグマリオン神話的な三角関係がみられること、執筆時の作者と主人公Peyrolとの類似、作品の舞台である19世紀はじめのToulonについてなど、今後の研究課題となり うる点のほか、参加者による活発な討論が行われた。

井上 真理 報告 詳細

【2008年9月例会(Kyoto)の事後報告】

今回(9月27日)のテーマは、Lord Jimにおける語り上の「断絶」が生むものである。
 小説の前半[第1章から第19章――パトナ号事件前後]と後半[第20章から第45章――
Patusanでのジムの行動と思想]との関連性に焦点を当てた発表であった。

 社本 雅信 報告 詳細

【2008年6月例会(Tokyo)の事後報告】

・コンラッドが群衆と指導者の関係をより「複眼的に」描出している点に注目した吉田裕氏の導入を受け、
参加者全員で長編『ノストローモ』を検討した。

井上 真理 報告   

【2008年4月例会(Tokyo)の事後報告】

・今回(4月12日)のテーマは
『ノストローモ』における階級・群衆・共同体 (導入:吉田裕 氏)

吉田裕さんの発表は『ノストローモ』理解に大いに資する視点を提供してくれた。
要旨は、詳細へ書きとめておく。

社本 雅信 報告 詳細

【2008年1月例会(Tokyo)の事後報告】

・はじめに導入者(設楽靖子氏)から、The Inheritorsの執筆背景の解説と関連するコンラッドの手紙等の紹介があった。

・この作品が、Liverpool U.P. からサイエンス・フィクション・シリーズの一冊として最近(1999年)再出版されているという事実自体が興味深い。しかも、メダリオン版(1925年)と同じページ送りになっているところが便利である。

井上 真理(学習院大学大学院博士課程)報告 

【2008年 1月例会 (Kyoto)の事後報告】

今回(1月12日)のテーマは、
1.Robert Hampsonとの対話報告;今後のコンラッド研究の方向性について
2.コンラッド研究書、翻訳作業
3.日本英文学会関西支部第二回大会の発表報告
である。

田中 賢司(海技大学校)報告 詳細