The Due

設楽 靖子 記

 前回の"Il Conde"に続き、今回も短篇集A Set of Sixから作品を選び、"The Duel"を扱った。導入として吉田徹夫先生に『ジョウゼフ・コンラッドの世界---翼の折れた鳥』(開文社 1980/2004)でのThe Duel論を引き継ぎながらいくつかの論点を提示いただき、そのうえでのディスカッションとなった。

 ディスカッションの主な論点は、まず、DupertとFeraudの間の対照性について。2人が出身地方、容貌、気質などの面で対照的であることは冒頭から繰り返し明示されているが、今回はその対照性を支える細部の表現上の工夫(言葉の並べ方など)が秀逸なものとして注目された。また、ナポレオンと王党派の力関係が変化するにつれて、2人の対照性が出自をめぐる社会的・政治的側面で強調されていくことは、コンラッドが描こうとした"the Spirit of the Epoch" (Author's Note)に直接関わることであろう。対照に「分身」をみる、という穿った発言もあった。

 登場する2人の女性(Dupertの妹および結婚相手Adele)についても、盛んな意見交換があった。どちらも王党派に連なる層に属し、とくにジャコバン党員に親を殺されたAdeleは、The RoverのArletteと共通している。この女性たちの役割に注目することも、the Spirit of the Epochとの関わりで興味あるテーマとなるであろう。

 リドリー・スコット監督による1977年の映画The Duellists (邦題『デュエリスト/決闘者』)も話題となった。とくに、最後の場面でFeraudがナポレオン帽をかぶってたたずむ場面は、原作では明言されていない分、Feraudとナポレオンを同一視というスコット監督の解釈が入ったものであり、この読みが示唆するところ大であろう。DVDが手軽に入手可能であり、一見の価値ありと言える。

 

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